仙台のみなさん、こんにちは。2013/09/08 09:54


今日から3日間、
ギタリスト鈴木大介がこちらのBlogを担当させていただきます。


まずは最近の仕事の様子から。

9月2日、サントリーホールで行われた
池辺晋一郎先生プロデュースの
「ジャズ、エレキ、そして古稀」というコンサートで、
野平一郎さんの「炎の弦」という
エレキギター(!)コンチェルトを演奏しました。

この作品は2002年にロック、ヘヴィ・メタル界の
天才ギタリスト、スティーヴ・ヴァイ氏が初演したもの。

ヴァイ氏は、その卓越した演奏能力はもちろんのこと、
音楽理論やスコアを作成する技能もずば抜けていて、
野平先生が見せてもらった彼の作品のスコアは、
変拍子あり、複雑なフレーズあり、と、
さながら現代音楽のようなものも含まれていたそうです。

互いに尊敬しあう二人による初演は伝説となっていました。

そんなすごい人が弾いた作品を、
エレキギター15年ぶり、ほぼ初心者の僕が弾くわけですから、
池辺先生発案のコンサートのテーマが「挑戦」であるとはいえ、
ほとんどやっていることはドン・キホーテなのです。

では、なぜそんな無理な挑戦をしたのか、というと、
初演の後、アメリカで、
現代音楽を得意とするクラシックギタリストの
デヴィッド・タネンバウムさんが「炎の弦」を演奏していて、
そちらは、もっと現代音楽的なアプローチで、
「う〜〜ん、この二人の中間の演奏は出来るのかなぁ」
と思ったのと、野平先生が以前、コンサートの楽屋でご一緒した時、
子供の頃、ハービー・ハンコックなどのジャズが大好きで、
本気でそちらに進もうかと考えていた、と聞いたこと。

あとはもう、弾いてみたい、という
純粋な好奇心だけでお引き受けしました。

作品にはエフェクターの指定があったり、
一見、ビートが存在していないように聴こえるところにも
書かれていない縦のリズムが存在していたりと、
それらのすべてを表現するには僕はまだまだ力不足なのですが、
指揮の杉山洋一さんや東京都交響楽団のみなさんのあたたかい
サポートで、リハーサルから演奏会まで、とても楽しく過ごすことが
できました。

今回は楽譜に書いてある強弱の指定(フォルテやピアノ、
クレッシェンド、デクレッシェンドなど)を、
極力ボリューム・ペダルを使って再現できるように試みたり、
作曲家の希望で、これまでの演奏でされていなかった音色の変化を
短い時間の間に細かくつけたりしたのですが、
これがほんとうに難しかったです。気持ちと足が連動しない(笑)。。。

こういう、こまごましたエレキギターの所作については、
普段「The DUO」というユニットでご一緒している、
エレキギターの巨匠、鬼怒無月さんにたくさんのアドバイスを
いただきました。

写真は、コンサートに来てくれた福田先生、大萩康司くん、鬼怒さん、
そして今度せんくらで共演するバンドネオンの北村聡くんです。


鈴木大介(ギター)