浜辺の歌2013/09/19 09:56

         (村山郁江 書)


最近、日本の歌に惹かれています。
リサイタルでも「荒城の月」、幻想曲「さくらさくら」などを取り上げて
参りました。

今は「浜辺の歌」を研究しています。
源田俊一郎氏が合唱に編曲したものを、ピアノソロに編曲しました。
きっかけは故郷の旧友の母が書いてくれた掛け軸です。

「浜辺の歌」の歌詞では、昔と同じ空間を踏みしめながら
往時の事や人を偲んでいます。
「変わらないもの」に囲まれた中で「変わっていくもの」の尊さを
痛感しています。

せんくらの演奏会ではこの曲をアンコールに奏でたいと思っています。
あなたの故郷はどちらでしょうか。

「記憶する」という行為の中に、変わらない愛がある気がしています。


土田定克(ピアノ)

秋の訪れ2013/09/18 11:41


すっかり秋めいて参りました。

ちょうどこの時期(9月14日~約一週間)をロシアでは
「バービエ・レータ」«Бабье лето»(おばあちゃんの夏)と
言います。

その呼び名の由来は様々ですが、一説によると、刈り入れが終わって
男たちが収穫物を売りに行っている間、おばあちゃんたちが
井戸端に腰掛けてお茶を飲んだり、縫い物をしたり、歌を歌ったりと
平和なひと時を過ごしたからだと言われています。

この時期はロシアで最も過ごしやすい季節として、
人々に特に愛されています。
その想いを詩人は詩に詠い、画家は絵に描き、音楽家は歌にのせて
謳歌しました。

日本でも秋を愛する人は少なくありません。
よく「食欲の秋」「芸術の秋」とか言われますね。
美味しいものやイベントが多く、嬉しいこと楽しいことが盛り沢山です。

まさに一年の収穫を享受するときです。秋に咲く花を「秋桜」(コスモス)
と書きます。とても繊細な美しい花です。

この芸術の秋。
今こそ親子そろって出掛けてみて下さい。
せんくらでは沢山のアーティストが親しみやすい名曲を奏でています。


土田定克(ピアノ)

仙台2013/09/17 09:48


仙台を初めて訪れたのは2001年の5月のことでした。
初めて開催された第1回仙台国際音楽コンクールに
参加するためです。

当時まだ25歳。
モスクワ音楽院を卒業して間もない頃でした。

モスクワからパリの予選を通過して仙台へ参りました。
初めて仙台駅のホームに降り立ったときの印象は「寒!」。
それに東京などに比べて人が少なく綺麗な都市だと思いました。

その時はまだ自分が将来この土地で生活するようになるとは
思っていませんでした。

幼い頃から北国に憧れていました。
北国の自然には控えめな美しさがあります。
冬を迎えて白い粉雪が舞い始めると、しんしんと静かな時間が
流れ出します。

だから北国では、音楽がより深く沁みて感じられるようです。
ロシアでも雪道を歩いてホールに着くと、そこで繰り広げられる
色彩豊かな音の世界は癒しと感動とに溢れていました。

この東北・仙台でもやはり音楽が盛んです。
国際コンクールも音楽祭(せんくら)もあります。
今後とも益々音楽がより身近なものとなって、
仙台から東北の気運が高まっていくことを願っています。


土田定克(ピアノ)