仙台人の底力2013/06/29 10:21

仙台のセミファイナルの事だ。
数日仙台を留守にした審査委員の中に「帰ってきたらネットが
つながらない」と言う人が何人かいた。
何をかくそう私もその一人だった。そしてその大変さ!
今またブリュッセルでネットがつながらない・・・
テレビも見られないと言う状態が続いている。
もうこの世の終わりだ!

夜になり電気がつくのが当たり前。
水道の蛇口をひねれば水が出るのが当たり前。
お湯にならないと大騒ぎする。

・・・・・・

震災後の数日間何もなかった生活。
それから自転車通勤をしたと言っていたうちは良いけれど、
だんだんその物珍しさにも苦難が出てくる。
それより何より実際の食糧難で(痩せました)と友達は言う・・・

震災後の4月に帰った時だけ、成田から上野に向かう電車の
照明が落とされていた。
みな肩を落とし、ヴァイオリンもなるべく人様の邪魔に成らぬ
よう持った。この感覚は70年代のものだ。

と・・・そのまま続くかと思いきや、6月には電気はこうこうと
灯り、次の夏には自動販売機の灯りもいつのまにか元に戻っている・・・

原発・・・があれだけ恐ろしい事に成ることを体感したにも
かかわらず再開・・・いや我々の生活が、その便利さが、
電気がなくてはやっていけない事になっているのだ!

それでもちょっとの不便さで考えることがある。
きっかけ・・・というには余りに大変な思いをなさった
東北の方々、そして行き場所のない憤り、怒り・・・

でも実はそれが底力なのだ。
そこで感じたこと、今持っている命、その大切さ・・
一度その事を思いっきり経験したことは大きいと思う。
私が昨年夏、フランクフルトでヴァイオリンを押収された時、
ふらふらと税関を出た後それでも最初に思ったことがある。

「これは津波ではない。私はまだ生きている」

奥山市長がいみじくもおっしゃったように
「大変な時にこそ、音楽と言うものの力を感じました」

文化は憧れだ、とやはり宮城県出身の彫刻家、佐藤忠良さん、

音楽を渇望する仙台市民、心から応援します。

そしてせんくら、ありがとう!


2013年6月ブリュッセルにて


堀米ゆず子(ヴァイオリン)

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